夜行/
yumekyo
の稜線に 上目遣いに向けて
あの子はいつもの昼間よりずっと饒舌で
月のない夜に上手に溶け込んで感じた
しがらみの多い生を駆けるあの子には
ほの暗い頃が似合う
眠りかかった街がぼんやりと現れては消える中
緩いカーブの時に見える快速列車の車列だけが確からしい
このまま飛び上がってしまうのならば
あの子を縛る縄を全て解き放って
隣につれてきてしまおう
鞄を固く膝小僧の上で抱きかかえて
胸の沸き踊るまま
車窓に釘付けになっていた
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