冷たい溶岩流/ホロウ・シカエルボク
 
示唆あるいは記憶
ありとあらゆるもののうねりが
脳下垂体で具現化してゆく
温かいものが砕けてゆく
眼球だけが明かりの見つけ方を知っている
こめかみの痛みは床の温度の記憶ばかりを語り
同化した肉体はさらに剥離していくもののことを語る
目を閉じるとそいつらの生み出す塵が見える
激しい雨の様にまだら模様が脳裏に新しい歪さを呼ぶから
だらんと口を開けて歯を合わさぬようにしているのだ
硝子の壊れる音が断続的に聞こえる
そんなものを拾い集め飲み込んでいかなければ
きっと新しい血液は巡ってはくれないのだ
舌の根が絞殺を感じている
澱み過ぎるといつだってそうなるのだ
縊死はもう記憶の中にある
切れた白色電球の様な目玉に瞼を被せてくれるか
そんな風にしか眠れない
そんな夜も必ずあるのだ





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