冷たい溶岩流/ホロウ・シカエルボク
無呼吸性の暗示が
一番脳に近い毛穴で
不快な韻律の
歌を刻むころ
次々と実を落とす
植物は塗り潰された
路上で乾いた
失血死の痕跡を思わせる色に
落ちた実を齧るとどんな
いたたまれなさが残るのかと
嗄れた喉で夢想し
そんな果汁で満たされた身体は
どんなふうに眠るのかと
どんな夢を見るのかと
器具で挽かれる食材の様な
予感がのたうつ五十八分
電波時計が入れ替える瞬間は
剪定の様に無情
故意に目をやる無灯の部屋
脳を抜かれた吾身の残像
大口を開けたさまは
まるでウツボカズラで
見え過ぎる影のようだ
動かない時間のせいで
そんな残像が消えずに残
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)