遊戯と紙リボン/アラガイs
*
夜が明けて
引き潮に帰る波
しら鳥は喉笛を慰めた
息をころすまえにそっと
手をかざすだろう
瞼のなかで追いかけている
)熱く宙を舞いながら
土埃霞む(蜂蜜に誘われて
吹きかけた黄色や淡いひかりの粒が (ひらひらと鎖に繋がれ
手窓射す)陽は恥じらうように
小さな舞台の上
切り紙になった犬や猫や鳥や、木の傍に
僕は悪戯をして立たされていた
(泣きながら
微笑みが )張りついた青い
スカート(白いリボンの輝きに
名前まで思い出せない
(先生
あなたは 夢のなかのひとだから
空が薄れみ
引き潮も帰る波
遠く/近くに/意識は解かれて
管を抜ける微かな暑い風に、そっと手を伸ばし
(呼びかけた
)あの日
生け垣に眠る園から
(こんにちは ) また遊ぼうね ) と、甦る幕は
(いま
静かに閉じられた 。
*
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