押したい背中/森の猫
 
がクスクス笑っていたのだ、マリ子はどうしょうもなく惨めで情けなかった。入部早々マリ子は、出来ない指立て伏せを無理にやっていて、左親指を捻挫してしまった。無論練習はできず、ボール拾いに専念した。
 そのことがあってから、マリ子のバレー部での3年間は悲惨なものだった。いじめにあったのだ。所詮、バレーボール向きの体質ではなかったのだ、ローテーシーションさえろくに覚えられない、交替で出た試合では骨折する、こんな選手は使いものにならない。
 
マリ子の頭の中には、入部当時しごかれた酒井先輩の大きくて脂肪のたっぷり付いた肩から背中がまるで山のようにのしかかっていた。それは、中学を卒業して勤めに出ても抜け
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