願望/寒雪
 
メートルの距離を
いつまでも埋めることが出来ない


暗闇はいつもいつも同じじゃなくて
月のきまぐれや雲の奔放さに振り回されて
刹那刹那の喜怒哀楽をぼくに見せ付ける
暗闇を傷つけないよう機嫌を損ねないよう
血液の中を溶け出して流れ続けている涙を
そっとため息に変えて柔らかく暗闇と混ぜてみる
少しだけ暗闇が笑ったのでぼくも微笑んでみせる


いつまでも絶えることのない
アフリカ大陸の民族が奏でる
心臓をかき乱すリズム
突き立てられたぼくは
目を閉じてじっとしてしまいたい
思い通りになってくれない
ぼくの感情をなだめながら
しっかりときっぱりと
両目を見開くと
幽かにようやく映る
小さな林の枯れ果てた冬の頭
その悲しみを受け止めようと
見下ろして記憶のカメラに写して
胸の奥底に飾りつける


こんな姿のぼくだけれど
明日は平等に来てくれるのだろうか

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