午睡未遂/本木はじめ
 
隅々までほこりを吐いてこの部屋は呼吸も忘れた屍である


恐ろしき世界のごとき牙かくし小さな鳥を演じる小鳥


天体にばらまくひとみ瞬く間消えゆく星が消えゆく速さ


投げつけた夕暮れ色のオレンジのほのかに香るゆめより醒める


焦げ付いた絨毯二度と戻らないあの日のきみのマニキュアの黒


ガーデンにうつ伏せで寝るこんばんは真昼のゆめのなかの隣人


華やかな接触 カラァーコンタクトレンズが落ちた世界は絵本


駆けつけて少女の葬儀少年の棺も既につくられている


十一時五十九分蜜を吸う十二時五分に運ばれゆく蝶
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