巨人/ヨルノテガム
木々や林や大木が
海が足元が その鉛色のジャングル地帯や
腕や遠景や丸窓の彼方燃え上がるや
地草、枯れ果てるや
種子膨らみが
空を持ち上げる白い大巨人の
か細い足首や足指の
葡萄、白桃、こぼれ出す嘘果実の、冷えた利ざやや
ぬかるみに沈む失くした右足全てと
幽霊が支える代わりの右足義足と
歩み歩まれる湾港景色の
怪獣に似た侵食と
我々の棲む影と建物と影と
幻であったらいいのに全て、と
つぶやきが大音量の電線伝いと
黒くしわがれたスイッチ式の
亡牛の足の重力と
涙、と乳首、と捨ててきたの
亡霊たちの見守る、
この街の屋根と屋根と
海が巻き込んでくるの
大気も陸も縮んでひたり浸かった
海よ、その白さよ、大巨人の よりもっと
白さよ、素敵よ、欠伸よ、何処へ
行くのその背中よ、愛よ、田植えよ、
素潜りで行ける十秒の地点よ
巨人が
背中が
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