痛い女/恭二
 
こら辺かな、

と思うところを切り取った。

女は「痛い、痛い。」とまだ繰り返す。

それならこっちは。

手探りで、少しづつ少しづつ慎重に切り除いていく。

暫く切り続けている内に、

やっと女は静かになった。

僕も刃物をベッドの下に隠して

ぐっすりと眠った。


翌朝、目が覚めると、

女は居なくなっていた。

ただの肉片の山に代わっていた。

もう声が聞けないのかと思うと、

僕は少しだけ淋しい気持になった。
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