痛い女/恭二
また夜が来た。
僕はこの時間が一番嫌いだ。
隣に女が横たわって、
毎晩「痛い、痛い。」と訴えるからだ。
それでも最初のうちは、
心配になって身体を摩ってやったりもした。
だけど女は痛いとしか言わない。
どこがどう痛いのかも僕には判らない。
今夜も又、案の定。
女は「痛い、痛い。」と繰り返すばかりだ。
僕はお医者でもないので途方に暮れる。
午前2時をまわって、思いついた。
身体の痛い部分を切り捨ててやろう。
どうせ元から痛いのだから、
少しくらい刃物を使っても大丈夫だろうし。
暗闇の中、なんとなくここら
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