チューリップ十本の赤い花びらのなかを/
あらら
てぬるくなり
色褪せていくようにも思えるので
私は静かに途方に暮れる
だからいまここにある
チューリップ十本の赤い花びらのそのなかは
土の中に根をおろした
チューリップ一本の赤い花びらのそのなかと
ちょうど同じくらいだと
思って貰えれば
私は充分嬉しいのだ
私にできることなんていうのは
せいぜいがそれくらいのことで
だから今日私は
この花束をあなたのために
いまここに持って来たのだと
戻る
編
削
Point
(2)