花散らしの風/吉岡ペペロ
今すぐ結婚しないひとの
いのちの心配をしてはいけない
花びらがすき放題に散っている
桜木も見あたらないのに
どこからか来て巻きあげられている
雨のあとの曇った朝だった
柔らかな風がきれぎれにそよいでいた
花散らしの風が
生きてゆくことを歌っていた
ひとはみな
ひとそれぞれの切実に
一喜一憂、
得意と失意、
辛抱と落胆に巻きあげられている
今すぐ結婚しないひとの
いのちの心配をしてはいけない
どこから来ているのだろう
出会いや別れは
どこから来て
どこへと消えてゆくのだろう
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