てこずりのおもりはのろしのように/藤鈴呼
白鳥は十字が似合うと言う錯覚
一等先の 空を照らす 特攻隊長は
恐れ知らずの 頑固者
雁は どんな形で 飛来するのか
考えたことも なかった
今冬は 随分と 小ちゃい虫ばかりと
遊んでた
白いティッシュ 振りかざして
お前の好きな 文字を 描けと
命令するかのよう
一番重い 掛け布団の 端っこに
トンボみたいに 繋がった虫
塩辛トンボでもないし 細っこいトンボが
昔 いたよね
あんな風に
産め梅埋めって 三度 唱えたら
何かが ポカリと 出て来そうだった
反射的に 手で蹴散らしてから
ギクリと思う
此れは 殺戮か 否か
田舎の片隅で 考えて
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)