ホリデイ/竜門勇気
てるんだ
僕は僕でおんなじで
勝手な気持ちを手のひらで遊ばせて
何かを知った気にはなれるんだ
色のついた絵の具が欲しいんだ
でもそんなものはどこにもない
たとえ僕がそいつを手に入れたとしても
自由に描ける窓なんて存在しない
カーテンを開けても
冷たくて不自由な窓を開けても
ただ
僕の中にあるものでなら
鮮やかに世界は描けるんだ
赤とか青とかはないけど
白い雲や高い煙突は描けないけど
ぼんやりした熱いものや温い痛みが
まるで触れているかのように
休日のドアは開けっ放しで
二枚のカーテンは風に吹かれて
部屋に踊る
せめて笑っている人が窓の外にいてほしくて
涙を拭いて部屋を出た
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