菜の花のこと/はるな
 
。私立の中学の一年生かしら。おそろいの制服、かばん、教科書、ネクタイの結び目のかたさまできっちり決められていそうで。かみの毛にみんなひとつずつ天使の輪を抱いて、まだやわらかそうな指をして。いつかは、きみたちも、女の子にぶんぶん振り回されるのだよ。と、考えるとすごく愉快だった。女の子たちも、きみたちに、うっとりしたり、がっかりするのだよ、と思うと、その柔かい皮膚はとても貴重なもののようで、泣きそうになった。やっぱり、髪を染めるのは今日はよしにして、そのぶん刺青をいれよう。しるしが欲しい、とおもう。決められた制服で、決められた髪型で、決められた教科書をそろって読んでいたあの頃も、でもこんなにはわからな
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