菜の花のこと/はるな
いてい眠ってしまう。なぜだかずっとそうだ。
目がさめると、バスはまだ道程の半分程度まで進んだところで、窓からは田んぼがたくさんみえた。菜の花も。菜の花はとても黄色くて、あかるかった。たくさん咲いていた。連なって、川べりをぐるりと囲うように、遠くには桜みたいな桃色もみえた。たてものがほとんどないので、遠くまでよく見えた。そんな風景がえんえんと続いているので、バスは走っていたけど、景色はとまっているみたいに見えた。なんというか、パノラマの紙芝居をみているような。よい景色だった。
たとえばそれを、誰と見たいと思えるのが適切なんだろう。
たとえば、おいしいものを食べたときに、気持ちのよい音楽を聞いた
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