雨に踊るものたちは皆、笑っている/木屋 亞万
めた水溜りの上を
駆け抜けていく自動車の車輪さえ
とび跳ねるようにリズムを刻む
普段から堂々と闊歩し過ぎている
街行く人々も今日は
傘で顔を隠して歩く
僕のところはようやく
雨が降ってきたよ
古びた透明傘にも出番が来た
そのせいで肩とズボンの裾が
雨に濡れてしまったけれど
それが何だかとても楽しいんだ
君のところにもこの雲が
楽しさを運んでくれればと思って
空を見上げる
ほの明るい金曜日の十四時
冷めたコーヒーを片手に
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