雲の形/アンテ
品が別にとってあるほどの念の入れようだ
手に取ると
勝手に真ん中あたりが開いて
そのまるまる二ページ分を
空で朗読することができた
わたし
まだしばらくは生きていられるんだ
ようくんに話したら
笑われるかもしれないけれど
わたし
まだしばらくは
生きていられるんだ
それに
笑ってもらえることがうれしい
なぁに またその本読んでるの?
カバンから本を出すと
先生が呆れたように笑った
ねえ とっておきの本を
生まれて初めて読むんだから
邪魔しないでね
ヒロコ先生
おもわずくすくす笑ってしまった
おかしな子ねえ
頭をこづかれる
窓のそと
形は変わりつづけているけれど
雲は雲だ
永遠を信じたくなるような
まっさらな空だ
連詩「メリーゴーラウンド」 14
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