し/シホ.N
うは
こんなに孤独なことではないのだ
痛々しいことではないのだ
死をやるということはほんとうは
眠れない夜
起きあがって闇に向かって
深呼吸することと同じなのだ
息をすることと同じなのだ
真・善・美であり
偽・悪・醜だ
死をやる
ということに対し
なんと大きな代償がいるのだろう
しかしながら切り刻まれる肉
失われてゆくものたちのかわりに
必ずなにかがやってくる
肉体が刻まれたならもはや
そのやってくるものたちを
この手や目でとらえることできず
見返りとして受け取る主体すらないのだけど
必ずなにかがあるはずなのだ
もっと先へ行けるならきっと
孤独を憎まずむしろ一体化して
新たななにかとの共存も可能なのだ
そんな予感が
いままさにやってくる
だから決めたのだ
しをやる
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