がらん、/
 
この、何の役にも立たない平和な記憶たち。
土葬されるか火葬されるかの未来を、残されただけの。
私はそれを、ルールに則って選ぶだけである。
あとはルール通り袋詰めにして、きちんと口を結べば終わりである。
埃は静かに宙を泳ぎ、時々日差しに姿を現す。
そしてまた音もなく、私の身体に寄り添っていく。
それがとても、苦痛で仕方ないので、
口を結んだ私は足早に、風呂場へと向かう。
洗い上がった髪を拭きながら押入れを眺めるのは、清清しい気分だった。
そうまさにそれは、がらん、と声を上げて鳴いているかの様で。
私の青い記憶たちが眠っていたのか、
はたまた積もった埃と同様に、すでに死骸であったのかは、
もうここに居ないので、判断のしようもない。
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