春の嵐/シホ.N
 

くるくるまわる
風ぐるま
くるくるまわる季節の風
目の前にないにしても
鈍くちらちら光る
まわる羽の色
あのやすっぽさに感じいる

匂いたつ沈丁花の
垣根の道を
するする進み
何かないか
ないか何かと阿呆の言葉
何も無いのが世の常で
花の顔のみ
香りたつ

体の裡にうねる渦巻き
いったいぜんたい
得体が知れない
自分じたい得体が知れない
くるくるまわる
裡の虚空と
境界線

未知の道を
するする進むと
花の匂いが
満ちみちる
これは沈丁花
きっと沈丁花
体の裡に沈むような
あの小さな花の像の刷りこみ

風ぐるまを手に
くるくる笑う子供たち
は居ないにしても
何もないこの道に
くるくる砂巻く
つむじ風

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