発酵/佐藤真夏
 

陽の溜まる部屋で
私たちはボタンのとれたシャツのように笑う
まいにち
洗濯をして
汚いってどんな色か確かめる
互いの背中に腕を回して
肩の下から腰の上までぎゅうと絞れば
背骨をつたう
乳精だらけのヨーグルトが
つんと匂った

低血糖に目を回しながら
私たちはボタンのとれたシャツのように泣いた
発酵したさみしさを
舐め取る舌の
付け根を
どこに植えても根腐れしないように
まいにち
起立して
しわを伸ばすように笑う


戻る   Point(2)