毛氈苔/天野茂典
 

 



  37.6度の微熱があって
  ぼくは食虫植物にやられたようだ
  巧妙な手口で誘い込まれ
  まんまとぼくは捕食された
  もう二日もほったらかしだが
  そのうち恐ろしい毒素をもって
  ぼくに襲い掛かることだろう

  毛氈ゴケのように一見ドレスアップした
  赤い繊毛の粘液をかけられてぼくは
  熱とともに爆裂してやるのだ


  お前に移したからにはぼくはもう直ったと同然だ




            2004・11・06
       
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