また どうでもいい話/佐々宝砂
衣食住は「どうでもいい」話ではない。いま新潟の被災者のみなさんは、切実にそれを感じているだろう。阪神大地震の経験者も、身をもって衣食住の大切さを知っているだろう。しかし、衣食住という人間の最低の基本が「どうでもいい」と感じられてしまうオソルベキ状態、も存在するのであった。
たとえば、鬱病のとき。鬱が最悪になると、食欲がない性欲がない、着替えも歯磨きも「どうでもいい」。自分が大事だと思えず死んじゃいたいような状態なのだから、自分のことなんか、ほんとに「どうでもいい」のである。そのくせ、自分のまわりの状況はけっこう見えていて、「ゴミ出しにも行けない私は家族に迷惑をかけているなあ」と考えたりする。
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