ライトレス/番田 
 
福島の原発は取り払われるべきだろう。世界はすでに外国の街並みのような悲しみをたたえている。私は誰かから呼ばれた時の声が聞こえたような気がした。


人は返事をすることなく歩き続ける。誰もいない朝に寝転がっていると、自分の他に誰もいないのだという気になる。それはきっと、良いことなのだろう。私の中で出口を求めて歩き続けてきた。誰もいない夜の世界を、いつか見た人混みの中に探し続けた。日本橋の風景の中で、ラーメン屋を探し続けた夏の日の世界だった。


高速道路が頭上を通過しながら、人並みをすり抜けていく姿は、もうすでに終わった風景なのかもしれない。コンビニの中から出てきた私は、その目に何も見つめていない。あらゆる言葉は使われすぎたのだ。

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