営業活動としてのマドリガル/佐々宝砂
老女になりたいと思うことがある
老婆 というのでは色気がないので
老女 というのになりたいのである
あくまでも 老女 なのである
お抹茶たてて優雅にきみしぐれなど食べながら
というガラではあるまいから
水割り飲みながら煙草片手に
夜の盛り場で昔の恋など語りたいのである
「女は怖い」と若造に思わせることができたら
最高なのである本望なのである
だが問題は語るべき経験があまりないことで
だからあなたにこういう話をしているのだけれど
これって恋文ですか自信ないのだけれど
お返事お待ちしております
(2000年頃書いたものを2004.11.6.改作)
戻る 編 削 Point(3)