「がんばるな、ひとよ」(3331 Arts Ciyodaにて2011.4.3に/白糸雅樹
 
ーさーん。わらってよぉ。おかあさーん、おかあさーん。」と声を高め、次第に言葉はただ、「おかーさーん、おかーさーん」という叫びになり、「おかーさーん、おかーさーん、どこにいるのぉー、おかあさーん、ままー、ままー、ままー」と繰り返しました。

 そのあいだ演者たちの半数ほどは踊り続け、観客のうちのこどもがふたりほど、おかあさんを呼び続ける私をまじまじと見つめていました。

 そしてまた繰り返す、「がんばるな、ひとよ。がんばるな。日本。」という祈り。

 またしても床に倒れこんだまま、カリンバを弾き続ける私から、静かにカリンバを取り、爪弾き始める女性演者。私は倒れたままでした。

 その頃、時刻は3時50分となり、しずかに演目は終了しました。

 最後に、万城目さんが、「みなさま、おさわがわせしました。よろしければこの箱に義捐金をお願いします」と挨拶し、会場をまわりました。


                          2011.4.4 白糸雅樹
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