ふりしきるあいのころに/草野大悟
 
さくらのつぼみが
ぽつぽつ
ほころびるころ
わたしは いつも
ひとつだけ
かみさまに
ねがいごとをします

たいせつな たいせつなおねがいをするのに
よこになったまんまで
ごめんなさい
かみさまには ずいぶん
しつれいだとはおもうけれど


さくらは
とてもかわいいはなです
みんなを ほんなりしてくれる
すてきなはなです

そんな
さくらが
ひとときをさいただけで
ひらひら あおぞらに ふかく どこまでも
すいこまれてしまうはずは
ありません

ふりしきるしんじられないふこうと おなじくらい
あい は どこにだってあふれています
だから
さくらをみている みんなのひとみは
いつだって
いつまでも
うすももいろに ほほえむのです


のう を ひらいたあのひから、
さくらのころ
わたしは
いつも
たったひとつだけ
かみさまに
ねがいごとをするようになりました。
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