咲く花のひと/恋月 ぴの
君のこと愛しているよ
って
叫べるほどに誰かを愛したことあったのかな
*
おとこの子
男のひとを「きみ」って呼ぶ
私に似合わないのは判っているけど
敢えて、そう呼んでみた
そして好きとか
愛しているの度合いを
脚の長い水鳥が干潟でも渡り歩くように
いっぱいに拡げた親指と人差し指の間で測ってみせる
ふむ、このくらいってことか
自分を愛せなければ
他人を愛することなんかできない
そんなことばがあったような
なかったような
*
あきすとぜねこ
彼の名前と私の名前で占う
好きとか
愛しているの度合い
[次のページ]
戻る 編 削 Point(21)