街灯がひとつ/三条麗菜
を食いしばれと
言葉もなく伝わってきます
それは静かに私達の心を
沈めてゆくかのように
私は現実を
何も見ないのではない
私は痛みを
少しも感じないのではない
私は死者を
誰も弔わないのではない
あなただけが
あなただけが
許してくれればいい
きっとそれでいい
街灯がひとつ
その下で
私は待っています
救いを待っています
もう長いこと待っています
しだいに私は
何かにまみれてゆきます
それでも待っています
私が壊れないための
細い道を進むために
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