諸葛菜(しょっかっさい)/
蒲生万寿
線路脇に
薄紫の花が群れ咲く
春はこういうところから
姿を見せる
和らぐ風に揺れ
待ちかねた日を浴びている
「我等この花以上に何を知るというのか?」
花以上でもなく
花以下でもなく
同じ土の上に立ち
一生涯を過ごす
大多数においては名を知られることもなく
無名のものとして
赤裸々なものとして
共に春の日を喜ぶ
少なからずこの景色を自分のものにして
諸葛孔明に由来するこの花は咲き
我等は車窓より眺め
今ある姿でこの時を楽しむ
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