尻/木屋 亞万
 
が目の前にあるはずで
この状況は一体どういうことなのか

追いかけている尻が追いかける尻もまた
尻を追いかけていて
尻が尻を追い尻を尻が尻で尻の尻だ
尻尻尻尻尻尻戸尻尻尻尻尻尻尻九尻
ただ歩いている
前の尻の速度に合わせて

連なるように追いかけている尻の
すべてが実は私自身であるかもしれない
私はずっと私を追いかけているのだ
私の尻を追いかけている

いつか空き地で見た
自分の尻尾を追いかけて
ぐるぐる回り続ける犬のように
自分の尻に追いかけている

追いかけているのが自分の尻なら
そこまで必死になって
追いかける必要もないかもしれない
そう思って尻から視線を外す
ふと見上げた夜空から
降り注ぐ一億の尻

戻る   Point(0)