陽だまりに/月乃助
 

眠りによりそう
咲きおくれた百合の白い想い
写真のなかにおさまったあなたは、
昔見せた笑顔のままで
私をみつめる


じゅうぶんに苦しんだのですから
もう休んでもよいのです
生きとし生けるものがみな迎える
旅立ち


ほんとうのことを言ってもよいですか  
私は、ほっとしているのです
すべてがこんなに早く終わったことに


親孝行のまねごとさえできなかった
その私に
逝ってしまったあなたが残した言葉
つよくなりなさい
言葉少ない吐息のなかで聞いたそれを
ぼんやりと思い出していたりするのです


川辺にあつまった人たちが
桜の陽だまりで
ほんとうに幸せそうに
笑い声をあげています
私の春をも うばいとっていくように





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