「そうやって日々は過ぎ去ってゆくとしても」/ベンジャミン
きれいな空があることを
忘れたくなかった
どしゃぶりの雨にうたれても
そんな悲しみみたいなものに
負けてしまいそうなときでも
きれいな空があることを
忘れたくなかった
真昼に星が見えそうなくらい
透きとおった空のような気持ちなんて
思い浮かべることもできない
けれど日々は
毎日を毎日として生きることに懸命で
そんな懸命であることに必死になることは
もしかしたら美しいことかもしれない
きれいな空があることを
忘れたくないのと同じように
たとえばとても身近な何かを
ふと見上げた空にかさねて
きれいだと感じる心を
忘れたくなかった
戻る 編 削 Point(3)