「そうやって日々は過ぎ去ってゆくとしても」/ベンジャミン
 
きれいな空があることを
忘れたくなかった

どしゃぶりの雨にうたれても
そんな悲しみみたいなものに
負けてしまいそうなときでも

きれいな空があることを
忘れたくなかった

真昼に星が見えそうなくらい
透きとおった空のような気持ちなんて
思い浮かべることもできない

けれど日々は

毎日を毎日として生きることに懸命で
そんな懸命であることに必死になることは
もしかしたら美しいことかもしれない

きれいな空があることを
忘れたくないのと同じように

たとえばとても身近な何かを
ふと見上げた空にかさねて
きれいだと感じる心を

忘れたくなかった


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