The Doors/Autumn Has Come/はだいろ
 

ジョン・デンズモアは口数の多い方ではなかったが、
思い出についてドイツ語で語るとき、
多少語彙の少なさを補うように、
饒舌になりがちな朝があった。


そんなときシナモン入りのアイリッシュコーヒー(それを、
俗語でなんというのか、
ぼくはとうとう聞かずじまいだった)
湯気の向こうで、
ぼくはジムの思い出に浸ることができた。

夏は去り行く。
そして、冬がやってくる。
それが、
人生のすべて。
生きていることは、悲しみと連れ立って歩いてゆくこと。
幸せは、悲しみの対立項ではない。


リザードキングの墓に行く途中、
突然雨が振り出し、
あまりにもあたたかいので、
ぼくは帽子を脱いで天を仰いだ。





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