ぬけがらです/仁村仁亮
わたしは、ぬけがらです
わたしの中身は かつて鳥篭に押し込み、鍵をかけ、どこかへやってしまった
だから、わたしは ぬけがらです
今日も わたしはわたしの存在理由をさがして
風に飛ばされそうになりながら
必死で
彷徨っているのです
しかし、わたしは、わたしの存在理由などはないという事実に、
徐々に、徐々に、
気がつきはじめているのです
わたしは ただのぬけがらです
それはとても恐ろしい現実です
その恐ろしい現実から少しでも目をそらすため、
今日も必死で
宛てもなく
彷徨っているのです
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