華が咲くまで/松本 卓也
失った物は何かと問い質す
神経痛と疲労を抱えながら
呷った酒の数を指折り数え
頭を掻き毟ってみる
ひたすらになんとなく
幸福というものを考えてみた
瞼や脳裏に浮かぶ笑顔があって
その美しい映像は決して
こちら側を見ていない
自嘲と悲嘆と他何か
震える指に痛む肩
未来も希望も夢も現実も
消えてしまえば良いだとか
思ったフリしたいだけ
明日の朝になって目覚めても
遺した言葉に遮られた想いは
少しでも少しでもと重ねつつ
永遠永劫届かない
単なる浅はかな願いが
こんなにも心を焦がす
目の前に零れ霞み掻き消え
今にも昇華して弾けそう
請い願い積み重ね
観察と推察を積み上げて
ようやくにして思い至る
幸福の要素に連なる条件に
何一つ関れないことを
どうすればいいかとか
何を成せばいいかとか
先送りにした挙句
取り返すことも出来ないならば
そこに在る現実を受け入れて
そこに咲く華に水を遣ろう
か細い肩に圧し掛かる役割を
何か一つでも預けてくれるよう
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