悲しみのかたち/吉岡ペペロ
いつものように夜を歩いている
星の瞬きをながめながら高台からくだってゆく
車や帰り道のひとと二三すれちがう
街のあかりは傾いている
最初の信号に出くわすと
すっかり道を歩いている
悲しみのかたちを持て余している
からだが歩調にあわせて鳴っている
音はきこえない
悲しみのかたちだけ感じている
ふとい息をひらべったく吐いてみる
目からエアティアーズがこぼれる
悲しみのかたちがゴトゴトと揺れている
今日はいいことが
たくさんあったような気がした
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