失語症/……とある蛙
 
頭蓋骨が揺れた日
駒落ちのフィルムのように
ストップモーションの連続で
日常と非日常が
サブミナル映像のように
いくぶんずれた頭皮の内側に刷り込まてゆく

恐怖感は突然やってくる。
震度四の恐怖感
震度五の恐怖感
震度六の恐怖感
震度七の恐怖感
全て異質の恐怖感であって
死ぬの生きるの
言い出そうとする言葉が
言い淀みながら
言い出す勇気が無くなる

強烈な刺激とともに刷り込まれた映像は
僕らの大脳皮質の前頭葉、
前頭前野のどこかを破壊して
語るべき言葉を失わせた

僕らの声は失われ、僕らの歌は失われ
僕らは、パクパク喘いでいる
僕らの喉がら漏れて
[次のページ]
戻る   Point(5)