失うひとの哀しみは (仮連作)/アラガイs
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不憫にも
後々悔やまれることがあるとするならば
自然とは(我々を全く理解しようなどとは思わない)ということ 。
人々は突然愛する誰かを失ったときの哀しみを、時化に受け立ち向かう帆の
)耐える支柱に想いを寄せながら
再び手繰ろうとする
(その、深く強い絆も
いまでは朱塗りの手桶に氷る(水鏡
)粗業と重なり/張る/湖面映る
門/閉じられて
(茫惚と蒼く、月浮かぶ夜明け、透けた双脈の筋が朝霧に虚ろう、刻に臼蓮華)
血を失うひとの哀しみは
(遠く、いつのまにか近くに二羽の鴉が字幕の終わりを告げれば
)八坂のひとつ下からひっそりと布に覆われた台車が現れて
(語らない記憶が、脆い数珠の柱に波を打ち上げ、頭をぶつける)
伝えきれない寡黙に両の手を合わせ
わたしは深々と頭を下げて)それを見送った 。
空けは、まだ息の白い朝だった 。
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