「三十二日目のこと」/ベンジャミン
あなたは
毎月というわけではないけれど
三十二日目の決められた日に
季節は流れるのだと言う
あなたは
今日は三十一日だから
明日になればまだ冬の余韻の中
次にやってくるのは春でしょうと呟く
あなたはそうやって
少し遠くを見つめるような眼差しをする
そんなあなたを
僕は少し遠くにいる人のように感じて
あなたの眼差しの先
三十二日目のことを思うと
少し淋しい
きっとあなたは
そんな余韻だけを残して去ってゆく
季節を背負った人なのだと
何となく知っているから
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