有罪の根/結川菜青
風呂釜の底に片手をついて
へたるように湯に浸かる
今日も温かい風呂に入ることができた
ありがたい
日々の罪は洗い流せただろうか
湯船でぼんやりと頭上に目を遣り
「無知は無罪じゃないんだよ」
と責められた過去を思う
無知な人間のすることが
先立った功績となった場合もあったろうに
それを金にした狡猾な人間すらいたろうに
無知な人間は犠牲者となって罪をつぐなうのか
そうして許されてゆくのか
無知は無罪じゃないと裁く人間は
自らの無知による罪に直面したとき
その良心の行き場をどう処理するのか
それともやはり
無知のままで居たいと願う
臆病な心こそが有罪なのか
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