陽だまりの中で猫がにゃぁとなく/ベンジャミン
 
の頃
近所の住宅街で
人馴れした猫が道の真ん中で居眠りをしている

ぎりぎりまでせまってくる車に気づいているのか
それでも猫は車道のど真ん中で
ふと目覚めたふりをして

ゆっくりと姿勢を変えながら
ちらりと運転席の方に目をやり
面倒くさそうな口を開けて「にゃぁ」となく

何となく
何かが間違っているような気がする

けれど
その何となく感じる不確かなものが

猫の肉球よりも柔らかく
世の中を包みこんでいる

それはきっと

陽だまりにたくわえられた
熱のようにあたたかいはずなのだと

何となく猫が教えてくれている
戻る   Point(2)