陽だまりの中で猫がにゃぁとなく/ベンジャミン
の頃
近所の住宅街で
人馴れした猫が道の真ん中で居眠りをしている
ぎりぎりまでせまってくる車に気づいているのか
それでも猫は車道のど真ん中で
ふと目覚めたふりをして
ゆっくりと姿勢を変えながら
ちらりと運転席の方に目をやり
面倒くさそうな口を開けて「にゃぁ」となく
何となく
何かが間違っているような気がする
けれど
その何となく感じる不確かなものが
猫の肉球よりも柔らかく
世の中を包みこんでいる
それはきっと
陽だまりにたくわえられた
熱のようにあたたかいはずなのだと
何となく猫が教えてくれている
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