Land Scape Goat/雛鳥むく
 
わたしの背に
連綿とつづく原野
そこに暮らしていた
一匹の仔兎が
今夜
死にました

という
あざやかな寓話を
包帯にくるんで
玄関の扉に
吊るしておきます
けれども街には
乾いた三角点が
散乱しているから
誰もが尾鰭の手入れに夢中で
わたしはひとり
兎を追悼する
準備にかかりました

兎を、弔う
兎を弔う兎を、弔う
兎を弔う兎を弔う兎を、弔う
兎を弔う兎を弔う兎を弔う兎を、弔う

わたしの背に
連綿とつづく原野
そこに暮らしていた
一匹の仔兎が
今夜
死にました





骨のない魚を
のみこんでいくネオン
空中庭園
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