きしべ/はるな
辿りついて
おもうことは
辿りつきたくなんてなかった
行きたい場所に
行きたいときに
自分で行きたかった
流れついて
おもうことは
流れつきたくなんてなかった
おおきなものが
おおきな腕で
たくさんのものを押し流した
行き着いて
おもうことは
行き着きたくなんてなかった
どこにも行きたくなんてなかった
どこにもいたくなかった
どこでだって生きたくなかった
どこにいてもいたくなかった
辿りついて
おもうことは
ひとつだけ
辿りつきたくなんてなかった
そう思っていた
十七才だった
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