/オキアミ色の空//アラガイs
 
切り杓り上げた
岩陰に立て掛けられた糸の切れた釣り竿には
墨で名前が二つ掘ってあった 。

(あれから
海沿いをさまよいながら歩いていた僕の肩にも、
追いかけてくる陽射しの眩しさは隠れ
)遠く、霞む、あの頂きの後ろ背に沈むとき
世界は/予知できない放砂の霧に浸される/と、わかっていた//
///滲む夕暮れの空が薄紅色に染まる///
//「箱のなかの魚影
/
ただよう午後の微熱は遅い凪に冷やされて
釣り人の背はやわらかな陽を浴びる
「たぶん 老人は魚を釣りあげるだろう 」
ふり返る/影線の先を追いながら「僕はガードレールの車へと向かった 。








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