/オキアミ色の空//アラガイs
 

)誰もいない磯辺で釣りをしている老人がいる
餌は野菜の切れ端だったがクーラーの中はいっぱいだった 。
( なにか釣れますか ?) 」ガードレールを跨ぎ岩場に近づいてゆくと、クーラーのひとつが「真新しいのを見て、僕は話しかけるのをやめた 。
生きた魚なんて、もう何年も見ていない 。
ぎっしりに積まれた魚拓のアルバムには(引き潮の香りが漂っている
老人は、 きっと(海)を持ち歩いているにちがいなかった 。

)人々が海岸線から去ると
磯の景色も穏やかになり
帆を渡る鳥の姿も消え失せた
(波が海苔と打ち寄せれば竿も大きく撓る
老人は風を受けて、二度思い切り
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