青空/足立和夫
晴れわたった
際限のない
ひろい空の青
小さな密室の心を
吸い込むようで
無関心な青
ほんとうの空は
無表情のなかで
とても暗く
中心がない
ブランコに乗って
遊ぶのが
嫌いだった
わかっていたから
ロープで吊るした
小さな板切れのうえに
両足を乗せて
果てのない空間を
踏ん張り
思いっきり揺らすと
大きな青い空が
脳の奥に迫って遠ざかる
頭がくらくらまわる
めくれあがった恐ろしい空
狂った青空が
こっちに
伝染させようと
青が深く差し込まれ
脳の壊音がひびく
そのときから
青空は
いつまでも
無気味なものになった
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