3月の即興3/橘あまね
女神さま、女神さま、
梅やら桜、れんぎょう、ゆきやなぎ
春のうちのまだ早いあたりと
もうそれほどは早くないあたりとの
まんなかあたり
咲き乱れるところの女神さま、女神さま、
ぼくは大きくなりましたか
ちいさなままですか
あいまいに抱きとめてくれないでも
この身いっしゅんにひるがえして
海に舞い上がって
空に潜っていく
それほどあべこべでもない
だってあがったりさがったりは
ぼくの勝手な感応だもの
もとからぜんぶひとつながり
どちら向きにもすすめるのさ
たちのぼり、おりたって
香りをふるうところの
女神さま、女神さま
ぼくのこの輪郭をささげます
内側と外側と
わけることなく咲く色をください
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