クロックワーク ポエトリィ/ ****Until dying in’ 05/小野 一縷
ぼくを手放さないで
深すぎる 終りない同心円 螺旋状の思考から
ぼくを
お願いだ
白いページ 罫線上に 青い文字が ずっと走って
ぼくは
戻ってこれないかもしれない ぼくは
いつも ここに いた 紙の上の染みに なって いた
そうだ 浴槽を洗おう
ぼくが食った 牛や 豚や 鳥や 魚の数
ぼくが殺した虫の数
ぼくが吐き出した精子の数
食欲を性欲を 蓄えながら浴槽を
感謝しながら洗おう
この体 この欲望を 清潔にしてくれる浴槽を
バスタブに 沈んで 泡を 弾けさせる
瞼を無くした貝が 沈んでゆく底は
内臓と意識を溶
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)